この記事では、iReal Pro における「Coda記号の用法」について、公式ブログの解説内容を翻訳しつつ、私のサンプルコード進行を交えて、内容を噛み砕きながら、解説してゆきたいと思います。
はじめに
iReal Pro 自体、そもそも日本語マニュアルみたいなものが整然と準備されているわけではないのですが、特に繰り返し記号関連については混乱しそうなので、自身の知識の整理も兼ねて、まとめることにしました。
実際、Coda についても、iReal Pro の動画やマニュアルでは、あんまりくわしい解説がないのですが、いろいろ調べて行き着いた先が、こちらの公式ブログ記事(英語)でした。
(英語が読める方は下記からどうぞ。)
では、さっそく始めましょう!
用法1:「Outro/Ending」としてのCoda
iReal Pro では「Coda記号の用法」は、主に2つの種類があります。
1つ目に紹介するのは、Outro(アウトロまたはエンディング)としての機能です。
基本的な書き方
基本的な表記方法は、下記の Sample 1 として、例を作ってみました。
ジャズで言うところのテーマ部分を何度か繰り返したあと、曲の最後にだけ演奏する「エンディング」として、
「Coda記号から、Coda記号へジャンプするよ!」
と示すのに使います。
下記の譜例では、2つ目のコーダ記号を付けた以降の小節([D]の部分)が、曲の最後に1度だけ演奏されます。
なので、この楽譜を「2回繰り返し」で、再生すると、
A→B→A→C(1回目)
→A→B→A→D(2回目=最終回)
と再生されます。
「3回繰り返し」ならば、
A→B→A→C(1回目)
→A→B→A→C(2回目)
→A→B→A→D(3回目=最終回)
と再生されます。
よくありがちな間違いは、Codaの書く位置のミス
よくやってしまいがちな間違いを、Sample 2 として書きました。
下記ののように、[C]の小節の位置にCodaマークを書いてしまうと、Codaを付けた小節の「あと」に、[D]へ行くので、1小節、間違えていることになってしまいます。
つまり、iReal Pro では、Codaの付いた「小節」の「あと」にジャンプする仕様なのです。
若干、脱線しますが、極端なことを言うと、下の Sample3 のように、小節の頭にCodaを付けても、アプリの動作は、Sample1とまったく同じ演奏順序になります。
あくまでアプリ上のプログラムの話で、人間が読むための記譜ルールとは異なるので注意してね!
省略形の「Outro/Ending」のためのCoda
素直に曲の終わりで、エンディングに移行する場合は、1つ目のCodaは、省略してもOK。
譜面の例はこんな感じ。
なので、この楽譜を「2回繰り返し」で、再生すると、
A→B→A→C(1回目)
→A→B→A→C(2回目=最終回)
→Coda
という順番で、再生されます。
ここまでが、「Outro/Ending」としてのCodaの用法でした。
用法2:「ダ・カーポやダルセーニョと一緒に使うCoda」
おそらく、意図的に複雑な作曲をしない限り、ジャズではめったにお目に掛からない用法。
ダ・カーポ(= D.C.)は「曲の先頭に戻る」
ダルセーニョ(= D.S.)は「セーニョに戻る」
という意味です。
これとCodaを組み合わせる場合は、
「D.C. al Coda」=「曲の先頭に戻って演奏して、Codaまで行ったら、Codaに飛ぶ」
「D.S. al Coda」=「セーニョに戻って演奏して、Codaまで行ったら、Codaに飛ぶ」
という意味です。
複雑そうに見えますが、単純に組み合わせただけなので、ひとつずつ理解しよう!
「D.C. al Coda」の譜例で見てみよう
言葉で説明するのは非常に難しいので、Coda Sample 5 として譜例にしました。
これをみて、予測つきますでしょうか? どうですかね?
使っているのは「D.C. al Coda」ですから、「曲の先頭に戻る」&「Codaに飛ぶ」がポイントです。
せっかくなので、iReal Pro で自分で譜面を打ち込んでみて、どんな順番で再生されるか確認してみるのもよいです。とても勉強になると思います。
答え合わせ
さくっと答え合わせだけしたい方は、iReal Pro の譜面データを、下記からダウンロードできます。 ご自身の iReal Pro に取り込んで、再生してみてください。
あるいは、正解を矢印で表すとこんな感じ。音声も付けておきます。
1回目前半は青い線からスタート。
イントロ3小節はベースラインをDのペダル・ポイントとしているので、練習として、聞き取りやすいようにしてます。
「D.C. al Coda」で赤の線を通って曲の頭に戻ります。
ただ、ここで「曲の頭に戻る」からといって1回目の繰り返しが終わるわけではなく、まだ1回目のリピートの最中として、曲が続いていきます。
そして、1回目の後半はピンクの線をたどって、Codaまで行ったら[D]のCodaにジャンプ!
最後まで行ったら、ピンクの最後まで行ったら、ここまででやっと「1回目」の繰り返しがおしまい。
[D] のCodaの最後1小節はノンコード(N.C.)にしているので、ドラムだけが鳴ります。ここでリピートが終わるので、聞き取りやすいはず。
繰り返し2回目は、紫の線で、[A]に戻ります。[in]には戻らないことに注意!
繰り返し2回目は、ミドリの線からスタートして、「D.C. al Coda」で赤の線を通って曲の頭 [in] に戻ります。そして、1回目と同じようにピンクの線をたどって、Codaまで行ったら[D]のCodaにジャンプ!そして、紫で戻ります。
繰り返し3回目は、ミドリの線から・・・と、以降、繰り返してゆきます。
この楽譜を「2回繰り返し」で、再生すると、
in→A→B→C→in→A→B→D(1回目)
→A→B→C→in→A→B→D(2回目)
と再生されます。
D.C. の場合、[in]にまで戻るのが、より複雑にしているポイント。
「曲の先頭に戻る」というのは、イントロも含めて曲の頭に戻るということですね。
ダルセーニョの場合の例は、すみません、割愛させてもらいます。
でも、D.C. が曲の先頭まで戻るのに対して、D.S. はセーニョ記号がちゃんと書いてあって、そのセーニョ記号まで戻るだけなので、それほど難しくないかと思います。
習得のコツは、まず試してみること
習得のコツは、公式ブログにも、
To better understand how the Coda symbol works I recommend experimenting on your own and looking at other examples from the charts available in the forums in the main lists like Jazz, Brazilian, Latin, Pop…
https://irealpro.com/how-the-coda-symbol-works-in-ireal-pro/
と書いてあるとおり、自分でコード進行チャートを書き、いろいろ試しながら、理解するのが良いと思います。
そして、この記事のコード進行のサンプルも、皆さんの参考になれば幸いです。
私は「試してみることに失敗はない」という言葉が好きです。
いろいろ試して、よい音楽ライフを!
譜例のダウンロード
この記事に記載した「譜例1〜5」については、以下のリンクからダウンロードできるようにしておきましたので、ご活用ください。
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